“優しさ”ってなんやろ? 歌人萩原慎一郎
【読書の秋】
歌人萩原慎一郎を識ったのは、SNSの知り合いの投稿を読んだつい先日のことです。
紹介されてあった数首の歌のなかで
“消しゴムが丸くなるごと苦労して きっと優しくなってゆくのだ”
が印象されんでしょうね
「消しゴムの丸くなるごと優しく」
絵本「ちいさな くれよん」を思い浮かべました
なんて、あまりコメントをつける方じゃないんですが書き込んでいました。
さて、わたしは全く知らなかったのですが、
若くして自死された歌人の歌集『滑走路』がヒットして大きな話題になっているとのこと
ググってみると、NHKでもニュース9、クローズアップ現代で取り上げられています。
(下に、URLを貼っています)
二つの特集を読んで
特に心に響いた歌があります。それは、
《 “シュレッダーのごみ捨てにゆく シュレッダーの ごみは誰かが捨てねばならず” 》
タイトルにしましたが
“優しさ”って何やろ?
こんな自問が繰り返し繰り返されるなかで詠まれたんじゃないかな?
そして、問い掛けているように感じられるんです♬
☆☆☆
絵本『ちいさな くれよん』
おれてみじかくなったきいろいくれよんがごみばこにすてられました。「ぼく、まだかけますよ。まだ、きれいにぬれますよ」おおきなこえでよんだけれど、だれもひろいにきてくれません。「そうだ。あのひろいそとへ、でてみよう。なにかぼくのやくにたつことがあるかもしれない」
https://www.kinnohoshi.co.jp/search/info.php?isbn=9784323001661 より☆☆☆
読み返してみましょう♪
そして読み返していきましょう♬
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NHKニュース9
2018年5月31日(木)
【“非正規”歌人が残したもの】
https://www9.nhk.or.jp/nw9/digest/2018/05/0531.html
☆☆
「1年前、一人の歌人が32歳で命を絶ちました。
非正規として働きながら詠んだ短歌に、いま静かな共感が広がっています。」
”頭を下げて頭を下げて牛丼を 食べて頭を下げて暮れゆく”
“シュレッダーのごみ捨てにゆく シュレッダーの ごみは誰かが捨てねばならず”
「若き歌人が残した歌が問いかけるものは何か。
私たちは、その道のりを取材しました。」
☆若き歌人が残したもの いじめ 短歌との出会い
“今日も雑務で明日も雑務だろうけど 朝になったら出かけてゆくよ”
“非正規の友よ、負けるな僕はただ 書類の整理ばかりしている”
☆(歌を詠みはじめたころ。高校生時代か?)
“現実に食われてしまいし夢もあり グローブ捨てて鉛筆握る”
“ローランドゴリラが胸を叩きたり 動物園の檻の絶叫”
☆若き歌人が残したもの “非正規”そして“恋”
“夜明けとはぼくにとっては残酷だ 朝になったら下っ端だから”
“コピー用紙補充しながらこのままで 終わるわけにはいかぬ人生”
☆
“消しゴムが丸くなるごと苦労して きっと優しくなってゆくのだ”
厳しい状況に直面しながら萩原さんは自らの恋も歌にしていきます。
“かっこよくなりたい きみに愛されるようになりたい だから歌詠む”
“作業室にてふたりなり 仕事とは 関係のない話がしたい”
☆☆
去年(2017年)6月8日。
萩原さんは、自ら命を絶ちました。
亡くなったその日も、短歌を作っていました。
“あらゆる悲劇咀嚼しながら生きてきた いつかしあわせになると信じて”
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2018年10月16日(火)
【いじめ 非正規 恋… 歌に託した人生 ~ある歌集・異例のヒット~】
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4193/index.html
☆☆
バブルの時代に空前の短歌ブームを起こした「サラダ記念日」。それから30年、平成の時代を詠った一冊の短歌集が今、大きな話題を集めています。
“頭を下げて 頭を下げて牛丼を 食べて頭を下げて暮れゆく”